過労死・過労自殺事件

過労死・過労自殺事件
過労死とは 補償を受けるためには 労災申請の流れ
労災認定を得るためには 会社の責任について 弁護士費用について
1 過労死とは

過労死とは,働きすぎによって健康を損ね,場合によっては死に至ることを指します。厚生労働省の認定基準によれば,「過労死」とは,「日常業務に比較して特に過重な業務に就労したことによる明らかな過重負荷を発症前に受けたことによって発症した,脳・心臓疾患」であり,「過労自殺」とは「客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷」により精神障害(うつ病等)を発症し,自殺に至ることです。

2 補償を受けるためには

過労死・過労自殺は労働災害(労災)ですから,労働基準監督署に労災申請をすることができます(公務員の場合は公務災害認定請求)。
労災認定を受けた場合,ご本人が亡くなっている場合は,遺族に対して遺族補償年金等の年金(ただし,生計維持関係にない場合は一時金)と葬祭料,就学中の遺族に対する就学援助金が支給されます。ご本人が生存していて休業していたり後遺障害のために就労が困難であったりする場合は,療養補償,休業補償,障害補償,介護補償等が支給されます。
ただし,請求には時効があり,障害・遺族補償請求は5年,その他は2年以内に請求しなければなりません。

3 労災申請の流れ

労働基準監督署に労災申請し,認定されれば労災補償を受けることができますが,認定されなかった場合(業務外決定)には,決定を知った日の翌日から60日以内に労災保険審査官に審査請求をすることができます。さらに審査請求でも業務外の認定だった場合,決定書の謄本が送達された日の翌日から60日以内(又は審査請求をした日から3か月を経過しても決定がないとき)に労災保険審査会に再審査請求をすることができます。
それでも労災認定されなかった場合は,裁決を知った日の翌日から6か月以内(又は再審査請求から3か月経過しても裁決がないとき)に,地方裁判所に行政処分の取消訴訟を提起することができます。

4 労災認定を得るためには

労災認定を得るためには,認定基準に該当する必要があります。この基準は,厚生労働省のホームページにも掲載されており,労働基準監督署にはパンフレットが置かれています。
脳・心臓疾患の労災認定
精神障害の労災認定
概要としては,対象疾病(脳・心臓疾患,精神障害)を発症したといえるか否か,業務が過重であったか否か(長時間の残業,業務の質的な負担の大きさ等),発症が業務以外の原因によるものでないか否か,が検討事項となります。
特に,長時間の時間外労働に従事していた事実を立証できるか否か,身体や精神に負担となるような出来事があったか否か,が重要であり,このような労働実態に関する証拠を早期に収集していくことが必要不可欠です。
これらの資料の多くは,会社が保管していくことが多いため,会社が責任追及を恐れ,処分,隠匿する危険性がありますし,提出を拒否されることもあります。そのため,裁判所を通じた証拠保全手続きにより資料を確保することが必要になる場合があります。また、章句場の同僚の協力も重要です。
時間の経過とともに,資料を紛失したり破棄・隠匿されてしまったり,記憶が薄れていってしまったりすると,本来であれば労災認定されるべきはずだったにもかかわらず,業務外の決定を受け,補償を受けられないという恐れがあります。また,時効期間にも注意しなければなりません。
労働基準監督署で業務外決定が出てしまった段階で初めて弁護士に相談に来られるケースもありますが,その場合,データが消去されてしまっていたり,有益な資料を「必要ない」と考えて破棄してしまったりし,業務の過重性を証明する手段がなくなり,労働実態を反映した決定が得られない結果となることもあります。
さらに,一旦,業務外決定を受けてしまうと,その後の不服審査においてその決定を覆すには多大な困難を伴うことになります。
従いまして,「これは過労死(過労自殺)なのではないか」と考えた場合は,早急にご相談されることをお勧めします。

5 会社の責任について

労災補償により,遺族やご本人に対し,一定程度の支給がされますが,全損害が補償されるわけではありません。
したがって,労災保険でカバーされない部分,例えば,休業損害の不足分や,逸失利益(将来の収入減)の不足分,慰謝料等,については,直接会社に請求することになります。
労働契約法5条では,「使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をするものとする」と規定されており,これを安全配慮義務,と言います。
会社が,従業員が心身の健康を害するような過重な業務に従事させる等,この安全配慮義務に違反していると認められる場合,会社は,従業員やその遺族に対し,損害賠償をしなければなりません。
この場合にも,同様に,労働実態に関する証拠が必要となります。労災申請と合わせて,企業責任の追及を検討する場合にも,ご相談ください。

6 弁護士費用について

弁護士費用は,基本的には,報酬基準に従って計算することになりますが,事案の性質上,一家の大黒柱を失うなどして経済的にも困窮している方も多いと思われるため,委任契約時に取り決める着手金については,報酬基準どおりではなく,事情に応じて協議の上で決めることも可能です。したがって,費用の負担を心配して手続きすることを躊躇するのではなく,まずはご相談ください。

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