今年の自由法曹団の5月集会は能登半島・和倉温泉で開催されました。
例年どおり労働分科会に参加したのですが、話の中心は労働契約法20条裁判。全国の団員弁護士の奮闘により、各種手当てについては非正規労働者への不支給を違法とする判決が相次ぐ中、昨年6月に出された最高裁判決もハマキョウレックス事件、長澤運輸事件において皆勤手当、作業手当等の不支給措置を違法と判断しました。
もっとも皆勤手当等の手当の不支給のみを違法とするだけでは、正規と非正規の大きな格差を抜本的に解消することは困難といわざるを得ないのですが、今年2月に出された大阪医科薬科大学事件・大阪高裁判決では賞与の不支給措置を違法とする画期的な判決が出されるに至っています。
今後は賞与、基本給についても正規・非正規の格差を是正させる取り組みが一層必要となると思われますが、分科会では、さらに労働契約法20条、正社員内部での格差(正社員と無期転換社員、あるいは正社員と限定正社員間の格差)の是正にどう取り組んでいくのかが議論になりました。
現在、神戸地裁姫路支部に係属している科学飼料研究所事件で原告となっている15名の中には非正規労働者(契約社員)だけでなく、疑似限定正社員扱いされている年俸社員、さらには労働契約法に基づき無期転換社員となった原告たちが少なからずいますが、非正規社員は法律があるから救済されるけど、正社員である年俸社員、無期転換社員の格差は救済されないということになれば、非正規社員の年収が正社員たる年俸社員、無期転換社員を上回るという事態が生じかねません。
しかし、そのような事態を法の欠缺などといって放置することが不合理極まりないことはいうまでもありません。
憲法14条、労働契約法3条2項、民法90条、あらゆる法規範を駆使し、非正規社員とともに、年俸社員、無期転換社員も一緒に救済されるために一層奮闘していかなければならない、そんな思いを強くした今回の5月集会でした。
さて、集会終了後は、和倉温泉の方から輪島の方を回ってきました。
昨年、米子で開催された5月集会の後は、松江から奥出雲を回り、映画「砂の器」のロケ地である亀嵩に行ったのですが、今年は、「砂の器」と同じく松本清張の名作として名高い「ゼロの焦点」の昭和の映画のロケ地となったヤセの断崖、義経の舟隠しへ。
「ゼロの焦点」、平成のリメイク版は観ていないのですが、松本清張の数ある名作の中でも、「球形の荒野」「鬼畜」などと並ぶ名作です。映画では亡くなられた前田先生同様、「砂の器」を上回る日本映画はないと思っていますが、原作としては「ゼロの焦点」の方が面白かった記憶があります(戦後の混乱期の出来事に事件の端を発している作品としては、森村誠一の「人間の証明」と双璧をなす作品だと、個人的には思っています)。
その後、棚田百選に指定されている輪島の白米千枚田を観て、輪島で一泊。
翌日は朝市に行って、能登を代表する祭りであるキリコが展示されているキリコ会館を訪れ、高さ15メートルを超えるキリコにびっくりして、金沢駅に戻り、帰ってきました。
輪島では昼も夜も寿司を食べました(写真は輪島・伸福寿司でいただいた地物握り)。
とにかく絶品。うまかった。
もっとも、輪島塗の漆器等の高いことにも本当にびっくり。家族への土産は箸を買うのが精いっぱいでした。
また、今日から気合いを入れ直して頑張ります。