吉田竜一弁護士ブログ

自助ではコロナには打ち勝てない!

本日行われた自民党の総裁選で、菅義偉官房長官が圧勝しました。

自公が国会の多数を占める現状のもとでは、自民党総裁となった菅氏がそのまま国会で首相に指名されることになるわけですから、自民党員でなくとも、誰が自民党総裁になるのかということについては無関心ではいられません。

もっとも、自民党内にある7派閥のうち、石破派、岸田派以外の5派閥が菅氏支持を表明し、石破氏に有利といわれる党員投票も実施しなかったのですから、菅氏の圧勝は誰もが予測していたことです。

ご自分でも明言されているところですが、7年8か月続いた安倍政権を官房長官として支えてきた菅氏が、安倍政権を継承することになるのは確実で、菅政権の誕生に際し、一番、危惧される点がその点ですが、総裁選実施前にも、見逃せない気になる発言が既にいくつかなされていました。

一つは、13日のテレビで、「私ども(政治家は)選挙で選ばれている。何をやるという方向を決定したのに、反対すのであれば異動してもらう」と、政権の方針に反対する官僚は異動させる方針を示したことです。

しかし、例えば森友問題で見られた公文書の毀棄、決裁文書の書き換えについては、政治家の指示があったのではないかという疑惑がいまだ払拭されていませんが、このような指示に従わない官僚も異動させられることになるのでしょうか。

菅氏としては、政権の指示に違法なものなどないのだというのかもしれませんが、反対すれば異動させられる官僚は、もはや政権の言いなりになるしかありません。

これでは、忖度政治がこれからも続くということだけでなく、恐怖政治、独裁政治が実現するのではないかということを本気で心配せざるを得ません。

もう一つ、話は前後しますが、菅氏が5日に発表した政策集のタイトルは「自助・共助・公助、そして絆」でした。

自助とは、自分のことは自分でやれ、自分でどうにかしろということです。

ちなみに共助は、自分でできないなら、まずは家族に助けてもらえということでしょう。

しかし、なんでも自助、共助が強調されるのであれば、政治家など必要ありません。

自助が強調されれば、憲法25条で保障された権利であるのに、生活保護バッシングはこれまで以上に強まるでしょう。社会保障費がますます削られていくことになるのも必至です。

厚生労働省の調査では、コロナの影響で、今年1月末から8月末までに解雇や雇止めになった人は、見込みも含めて5万人超となったことが明らかになっています。

求人減少で再就職もままならない状況になっているのに、解雇、雇止めになった人たちに自分でどうにかしろなどということは政治家がいうべきことではありません。

もっとも、この「自助、共助、公助」という言葉は、菅氏が言い出したことではありません。

自民党の綱領を見ると、結党時の綱領では、「民生の安定と福祉国家の完成を期する」と書かれていたものが、新自由主義を錦の御旗とした平成22年綱領では、「自助自立する個人を尊重し、その条件を整えるとともに、共助・公助する仕組を充実する」となっていました。

しかし、新自由主義を推し進め、「公」が切り捨てられてきた結果、例えばコロナの関係でも、保健所の数が全国で激減し、対応が追い付かず、医療が疲弊しきっているという状況になっています。

菅氏は、「新型コロナウイルス危機の克服」を最優先課題とするとしているようで、そのこと自体は当然のことなのですが、新自由主義、自助を強調して、コロナを克服することなどできません。

求められているのは、公助を充実させることです。

最後に、憲法についてですが、菅氏は、8日のテレビ番組で、「自衛隊の立ち位置が憲法の中で否定されている」と発言したのを、翌9日に、「我が国を防衛するための必要最小限の実力組織として自衛隊を憲法に違反するものではないとうのが政府の正式な見解だ」と修正しました。

政府、そして内閣法制局は、一貫して、自衛隊を必要最小限度の実力として合憲としてきており、安倍改憲に反対する政党、市民も、自衛隊を海外に派遣して戦争できる国とする改憲に反対しているのであって、自衛隊を否定する人は、今日、改憲反対派の主流を占めているわけではありません。

どうも、憲法のことはあまり理解されていないようですが、そうであれば、憲法改正に前のめりになるようなことは厳に慎んでほしいと思います。

いずれにしろ、自民党総裁となった菅氏を首相に任命するためには臨時国会を開催しなければなりません。

臨時国会といえば、3年前、モリカケ問題で臨時国会の開催を求められながらも、これを先延ばしにし続けてきた安倍首相は、やっと臨時国会を開催したと思ったら、衆議院を開催し、臨時国会では何も議論はなされなかったのですが、コロナ特措法の改正等、コロナ対策に限ってみても、議論すべきことは山積みされています。

臨時国会では、即解散という3年前の安倍政権のやり方を踏襲するのではなく、しっかりとした議論をして欲しいと思います(コロナ対策が最優先になるのでしょうが、モリカケ、桜を見る会の解明も決しておろそかにされてはなりません)。

 

 

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