吉田竜一弁護士ブログ

続・戦争は絶対にだめです! ~軍事力増強論、核武装論で私たちの生命を守ることはできない~

5月5日、実行委員会の事務局長をつとめている第44回憲法を守るはりま集会に参加してきました。

集会のメインは、姫路出身の宇宙物理学者で九条の会の世話人の一人でもある池内了名古屋大学名誉教授の講演「科学の目で憲法を考える~憲法九条は世界の宝~」。

憲法集会に先立ち、4月16日には兵庫県弁護士9条の会の総会にWEBで参加し、元内閣官房副長官補・柳沢協二氏の講演「ロシアのウクライナ侵攻と憲法9条(進行形の戦争と護憲の課題)」を聞き、翌4月17日には憲法を守るはりま集会のプレ集会に参加して、兵庫県弁護士9条の会の事務局である羽柴修弁護士の講演「今そこにある危機 憲法9条で戦争を防ぐことができますか!」を聞きました。

(講演する羽柴弁護士)

3人の方の講演をお聞きして、改めていろいろと考えさせられたのですが、まず改めて確信したのは、戦争で国を守るということは国民の身体生命を守るということではないということです。

柳沢氏は、講演で、今般のウクライナの専守防衛が、肩撃ちミサイルで抵抗・体で戦車を止めることで、ゼレンスキー大統領が60歳未満の男性の国外退去を禁止していることから明らかなとおり、「国防」が「国民を守る」ことではなく、国民の「命を要求する」ものであることを、池内先生も、講演で、武力によって守る「国」とは何かという問題提起をした上で、「軍は国を守るが国民を守らない」ということを強調されていました。

この指摘がもっともであること、ウクライナに特有なことでないことは、来栖弘臣元陸将陸上幕僚長・統合幕僚会議議長が、その著書「日本国防軍を創設せよ」で「警察や消防は専ら国民の安全を図る。防衛庁・自衛隊は言わずもがなの国家の安全確保が任務である」と述べていることからも明らかです。

私たちは、軍隊=戦争で国は守れても、国民の生命は守られないということを認識しなければなりません。

だとすれば、相手方が攻めてきたときに、国民の生命を守るために、強い軍隊を持っておかなければならない、相手方が攻め込むことを断念させるだけの軍事力を持っておかなければならない、核武装もしておかなければならないという議論の誤りは明々白々だといわなければなりません。

戦争で、尊い生命が奪われることを防ぐためには、羽柴弁護士が指摘されていたことですが、「攻められたらどうする」のではなく、「攻められないようにするためにはどうしたらいいのか」ということを積極的に考える必要があります。

攻める側以上の軍事力を保有しておく必要があるという軍事力抑止論のもとでは、池内先生の指摘されていたことですが、戦争力強化競争は止まるところを知らず、行きつく先は、世界各国が核武装する中でいつ第三次世界大戦が起こってもおかしくない全面的破滅のもとにさらされた恐怖下での生存です。

確かに、ウクライナの悲惨な現状を映像でみるだけでも、9条だけで戦争を止めることができるのかと悩む人が多いのはそのとおりなのでしょう。私も9条だけで戦争を止めることができる、平和を守れるなどとは考えていません。

(講演する池内先生)

しかし、池内先生が指摘されていたことですが、世界史は戦争が終焉する方向に動いてきました。今般のロシアのウクライナ侵略は世界史に逆行するものではありますが、世界から戦争を終焉させようとする到達点にあるのが憲法9条です。

9条だけで戦争は止められなくとも、9条を武器に、私たちひとりひとりが「戦争はだめ」との大きな声をあげ続け、国家が武力、軍事力による戦争抑止を考えるのではなく、戦争を事前に止めるための外交努力を尽くし、核戦争を望まない国際世論を形成していけば、戦争は絶対に止められるはずです。

戦争回避のための外交と米中戦争・核戦争を望まない国際世論の形成の重要性は柳沢氏が講演で述べておられたことでもあります。

戦争は絶対に「だめ」です。

そのためには私たちが戦争を阻止するための不断の努力を続けていかなければなりません。

これまでにもいろいろなところで何度も書いたことですが、亡くなったRCサクセッションの忌野清志郎の言葉を、このブログでも締めくくりに引用しておきたいと思います。

憲法記念日の前日である5月2日は忌野清志郎の命日でもありました。

この国の憲法第9条はまるでジョン・レノンの考え方みたいじゃないか。

戦争を放棄して世界の平和のためにがんばるって言っているんだぜ。

俺たちはジョン・レノンみたいじゃないか。

戦争はやめよう。平和に生きよう。

そしてみんな平等に暮らそう。

きっと幸せになれるよ。

 

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