吉田竜一弁護士ブログ

私たちの暮らしと平和が争点~参議院選挙

民党は、わが国の防衛費を5年以内に倍増するということを公言しています。

倍増するためには現在の防衛費を5兆円増額しなければなりません。

その財源はどうするのか。

国債を発行しても国の借金が増えるだけですから、消費税を増税し、社会保障費を削減するしかありません。

しかし、そんなことをすれば私たちの生活は無茶苦茶になってしまいます。

アベノミクス、そしてロシアのウクライナ侵攻の影響で物価上昇がとまらない状況のもと、必要なことは、消費税を取り敢えず5%にまで下げる消費税減税を実施すること、年金、介護、医療などの社会保障を充実させること、働く人たちの賃金をも大幅にアップさせることでなければならない筈です。

6月3日の東京新聞は、「防衛費5兆円 暮しに使えば……」との見出しで、5兆円あれば、年金受給者全員に1人年12万円を追加で支給できる、公的医療保険の自己負担をゼロにできる、あるいは消費税の税率を2%引き下げることができることを明らかにしていますが、国がやるべきことは、まず、こうしたことなのではなのでしょうか。

また、防衛費倍増の問題を措いても、大企業はコロナ禍でも内部留保を130兆円積み増しし、内部留保の総額は480兆円に達しています。

この内部留保に課税するなど、大企業に相応の課税をすれば、賃金アップを実現するための財源、社会保障を充実させるための財源は十分捻出することができる筈です。

内部留保に手をつけない姿勢は、大企業べったりとの批判を免れるものではありません。

ところで、自民党は、軍事費を倍増させるということだけでなく、自衛隊に敵基地攻撃能力=反撃能力を持たせることも公言しています。

敵基地攻撃能力=反撃能力はわが国を攻撃しようとする外国のミサイル基地をミサイルが発射される前にたたくことを意味していますから、自衛隊が敵基地攻撃能力=反撃能力を持てば、自衛隊が積極的に海外に出て行くことになるのは必至です。

芥川賞作家でもある村上龍氏が2003年に著した「13歳のハローワーク」。

当時、小学生だった子どもたちのために買ったものの、一番、熱心に読んでいたのは私だったのですが、この「13歳のハローワーク」では自衛官の仕事も紹介されています。

そこでは、「自衛官になると給与をもらいながらシェイプアップすることが可能」「かつては戦争で死ぬというリスクはなかった」ということが述べられる一方で、「だが今後どうなるかわわからない。もしイラクに自衛隊が送られれば、それは確かな前例となるだろう。アメリカの新保守主義者たちがこれからも外交政策のイニシャチブを取り続ければ、中東やその他の地域で戦争・紛争は続き、おそらくさらに拡大して、戦費の増大に耐えられないアメリカ政府は忠実な同盟国である日本に軍事的な協力を求めてくるはずだ」ということが述べられていました。

イラク戦争のときは、憲法9条があったために自衛隊は非戦闘地域といわれていたサマワにしか行けず、幸い自衛隊員が戦争で死ぬことはありませんでした。

しかし、憲法9条が実質的に改変されて、敵基地攻撃能力=反撃能力を持った自衛隊が海外に出ていくことになれば、戦死する自衛隊員が出てくることは避けられません。

村上氏が述べているとおり、これからは、死ぬ覚悟がなければ自衛隊員になれない時代がやってくることになります。そして、死ぬ覚悟などないとして、自衛隊に入隊する若者が減るようなことになれば、その先にあるのは徴兵制です。

国会議員でもあった亡大橋巨泉さんが「戦争は爺さんが決めて、おっさんが命令して、若者が死ぬ」と述べていたことは以前にこのブログでも書きましたが、自衛隊に入って最前線に出る心配のない私のような年代の人間が、若い人たちに、「死ぬかもしれないけど、とにかくお国のために頑張ってくれ」というのは余りに無責任だといわなければならないのではないでしょうか。

私は、息子や孫(まだ女の子しかいませんが)が戦地に赴かなければならないような世の中になるのは真っ平ごめんです。

重要なことは、軍事力を増強することや核の共有を論じたり、自衛隊に敵基地攻撃能力=反撃能力を持たせる議論をすることなどではなく、やはり憲法9条をいかし、戦争させないための外交努力を尽くすための不断の努力をすることだと思います。

だからこれからも微力ながら憲法9条擁護の声を上げ続けていきたいと思いますし、選挙では、平和のために頑張る、憲法9条とともに戦争をなくす社会を築くために頑張るといってくれる政党に一票を投じます。

 

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