吉田竜一弁護士ブログ

いますぐに停戦を! どんな理由があってもイスラエルのガザ侵攻は許されない

10月7日、パレスチナのイスラム組織ハマスが、イスラエルに大規模攻撃を行いました。

これに、イスラエル軍がガザに報復攻撃を開始したのですが、ガザ地区を封鎖したことにより水、医療品、燃料等が底をつくなど人道危機が深刻化し、17日、ガザ市の病院で爆発が起きるなど、爆撃等によるガザ地区の死者は7000人を超えてしまったようですが、ガザでは、子どもを含め麻酔なしの外科手術を余儀なくされるなど、医療は崩壊寸前のようです。

ガザでは日本の種子島ほどの面積で約200万人が生活しており、このような密集地で空爆すれば、そして地上戦を展開すれば、一般市民が多数巻き添えになることは避けられません。

このような状況下、自由法曹団は、「ハマスとイスラエルの双方に対して、最大限の自制と人道的停戦の即時実現を求めるとともに、日本政府に対し、関係各国及び国際機関と連携して、即時停戦の実現に向けての働きかけを強めることを要請するものである」との、「暴力の悪循環を止め、パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘の即時停戦を求める声明」を発表しましたが、27日、国連総会も、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢に関して緊急特別会合を開き、敵対行為の停止につながる即時かつ持続的な人道的休戦を求める決議案を、121か国の賛成で採択しました。

自分が所属する組織であるとはいえ、国際問題についても適切、俊敏な対応をとる自由法曹団って、ほんとうにすごいところだと思いますが、自由法曹団の声明が、「暴力の応酬により、多数の市民を含む犠牲者が出ることは、許しがたいことであり、双方は、暴力の悪循環を止めて自制すべきである」と述べているとおり、国際法違反の応酬で、これ以上、市民に犠牲者を出すことは絶対に許されません。パレスチナとイスラエルの市民を守るためには停戦が速やかに実現されなければなりません。

理解できないのは、国連総会で採択された「人道休戦」決議を日本が棄権したことです。

上川外務大臣は、ハマスによるテロ攻撃への強い非難がないことなどを総合的に判断したと説明しいるようですが、確かに、今回のイスラエルのガザ地区の空爆は、ハマスの攻撃に端を発しており、このハマスの攻撃が国際法に違反するものであることは明白であるものの、国連総会での人道休戦決議の提案者であるヨルダンが「自衛権は免責の権利ではない」と強調したように、だからといってイスラエルがガザ地区で生活する市民を攻撃することが正当化されるはずがありません。

おりしも27日の朝日新聞の天声人語は、パレスチナ自治区ガザで2000人を超える子どもが殺されたことを指摘した上で、「イスラエルに自らの信じる正義があるのは分かる。多くの同胞が無残に殺された。捕らわれたままの人質たちもいる。だが、だからといって、これほど多くの無辜の命を奪っていいものか」と述べた上で、「停戦をすべきだ。いますぐに」ということを訴えていますが、本当にそのとおりです。

28日、欧州、中東、アジアの各都市でイスラエルによるガザ攻撃に対する抗議デモが行われ、特にロンドンでは数万人が参加したようですが、これからでも遅くありません。私たちも「即時停戦」を求める大きな声をあげていかなければならないと思います。

また、今回のイスラエルのガザ地区への攻撃は、自衛の名で始まる戦争が決して自衛にとどまらないものであることを改めて認識させてくれました。

やっぱり戦争をなくそうと思えば、侵略戦争はしないというだけではなく、自衛の名のもとでも戦争はしないと言わなければダメなのです。自衛、侵略を問わず一切の戦争を禁止した憲法9条、本当に先見の明があると思います。

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