1921年8月、神戸で起きた川崎・三菱造船所争議への軍隊・警察による暴力的鎮圧の調査と抗議のため、弁護士で結成された調査団が神戸に集結し、国家権力による不当な弾圧に抗議するとともに、自由法曹団の結成を決めました。
来年が自由法曹団創設100周年となりますが、100周年を来年に控えた、今年の自由法曹団の全国総会が18日、結成の地である神戸で開催されました。
もっとも、例年の総会は数百名の団員が1泊2日で開催地に結集するのですが、コロナの影響で、今年の総会は、18日の1日開催、会場参加は執行部と開催県である兵庫県支部と近畿・中国地方の支部の団員を中心に人数を限定し、全国の団員にはZoomを利用して配信・やり取りをする、いわゆるハイブリッド型の集会としてのです。
総会の議長は、執行部と開催県から1名ずつが選出されるのが通例となっているのですが、今回の集会では、開催県である兵庫県支部からは私が選任され、新幹事長に就任される神奈川支部の小賀坂徹団員と一緒に1日、議長を務めてきました(写真左が私です。撮影は事務所から参加した園田弁護士)。
Zoomの会議を仕切ることなどもちろん初めてで、いろいろ戸惑うことも少なくなく、特に、ウェブで本来双方向でなされる討議が成り立つのか、最初は少し心配もしていましたが、執行部の事前準備が万全で、当日も、本部の若手執行部、事務局の方々の迅速適切な対応もあって、何とか議長の大役を果たし終えることができました。
参加者は、会場参加が約80名、Zoom参加が約180名の合計約260名。この人数は最近の総会参加者と遜色のない数字の筈です。
内容的にも、北海道支部の団員が、中曽根元首相の合同葬に際しての最高裁等への弔意掲揚の要請に抗議した活動について、沖縄支部の団員が辺野古新吉建設阻止をめぐる状況について、宮城県支部の団員が「桜を見るか問題を追及する法律家の会」事務局長の立場から、そして東京支部の団員が先般最高裁が下した旧労働契約法20条裁判の判決の問題点をという具合に、様々な課題について、全国各地の団員から中身の濃い発言があり、実りの多い討論ができました。
近畿からも、大阪支部の団員が大阪都構想をめぐる題について、そして兵庫県支部からは、神戸合同法律事務所の吉田維一団員から、阪神・淡路大震災の借上復興住宅に居住する入居者の居住の権利を守り、神戸市の不当な追出しの中止を求める決議について、発言がありました。
新しい生活様式が求められる中での今回の総会の成功は、自由法曹団においても、新しい会議の方向性を提示してくれたのではないかと思います。
実は兵庫県では1996年にも淡路島で自由法曹団の総会が開かれています。
阪神淡路大震災の翌年、震災で甚大な被害を受けた兵庫県を激励しようと開催されたわけですが、この時、地元を代表して議長を務めたのが、2015年に亡くなられた竹嶋健治弁護士で、また、大分から昨年亡くなった父も参加しました(父と一緒に参加した自由法曹団の集会はこの時の集会だけです)。
今般、議長に選任して頂いたのは、そうした経緯を兵庫県支部で配慮してくれたからだと思います。竹嶋弁護士と同じ任務を背負わせてくれたことに感謝の念しかありません。
また、父と一緒に参加した24年前の総会のことも思い出し、少し感慨深い気持ちにもなりました(写真は24年前の総会時のレセプションにて、父、竹嶋弁護士、前田弁護士らと撮影したもの。長女の幼稚園の運動会に出てからの参加でラフな格好をしています)。
来年の5月には今年のコロナの影響で中止となった、沖縄での自由法曹団5月集会の開催が予定されていますが、必ず参加するつもりです。