今日は74回目の憲法記念日です。
7年8か月に及んだ安倍政権が昨年総辞職し、改憲に執念を燃やし続けていた安倍政権のもとでの改憲は阻止することができました。
もっとも、改憲派が憲法改正を諦めたわけではありません。安倍政権の継承を掲げて誕生した菅政権は、首相に就任した早々、共謀罪、戦争法、辺野古基地の推進に反対してきた6名の学者を、日本学術会議の会員に任命しないという、日本学術会議法だけでなく、憲法23条が定める学問の自由を侵害する暴挙に及ぶなど、安倍政権に勝るとも劣らない憲法敵視の姿勢をあからさまにしています。
憲法9条についても、防衛大綱への明記は見送られましたが、自衛隊に敵基地攻撃能力を持たせるという、明らかに専守防衛の枠を逸脱した憲法9条の破壊を画策しているだけでなく、唯一の被爆国として核のない世界を実現するために先頭に立たなければならない立場にあるのに、1月22日に発効した核兵器禁止条約を批准しようともしません。
また、菅首相が日米首脳会談で日米同盟の強化を合意するなかで、米中の軍事衝突に2015年9月に成立している戦争法のもとで自衛隊が駆り出される危険が高まっています。
中国のウイグル地区、香港での人権侵害、東シナ海、南シナ海での横暴は厳しく批判されなければなりませんが、自衛隊員が海外で殺し、殺されるという愚を犯すことは絶対に避けなければなりません。
また、未曽有のコロナ危機の中で、私たちのいのちと暮し、そして経済は、これまでにない深刻な危機に直面していますが、政府の対応は相変わらず極めて不十分です。PCR検査は立ち遅れたままで、ワクチン接種も一向に進んでいません。菅首相は、自民党総裁選のときから、自助、共助、公助と自己責任を強調し、憲法25条の生存権を否定するスローガンを掲げていましたが、自助だけが強調される中で、高齢者や障害者施設での集団感染は多発し、非正規を中心に解雇者は10万人を超えました。昨年1年間に自殺された人は2万1000人を超え、特に女性と子供の増加が深刻です。自助が強調されるなかで、コロナ禍は、社会的弱者と呼ばれる人たちに深刻なしわ寄せをもたらしています。
コロナ禍の中でこそ、憲法9条の定める平和主義を徹底し、膨大な防衛費を医療・福祉に転換する政治、憲法の理念を実現する政治が実現されなければなりません。
平和こそ私たちの生活の基盤です。
自助でコロナ危機を乗り越えることなどできません。
武力で私たちの暮らしと生存を守ることなどできません。
PS 本日の神戸新聞に戦争させない、9条壊すな総がかり行動兵庫県実行委員会の意見広告が掲載されています。賛同者は個人3781名、448団体だったようですが、姫路総合法律事務所の3名の弁護士の名前もあります。
ところで、憲法記念日にあわせて実施された毎日新聞の世論調査では、9条を改正して自衛隊を明記することに賛成は51%と反対の31%を上回り、共同通信の世論調査では緊急事態条項を新設する憲法改正が必要だとした人は58%、必要ないは42%だったことが報じられていますが、憲法に書き込まれる自衛隊は災害救助に汗水流して働く自衛隊ではなく、戦争法のもとで集団的自衛権を行使できるようになっている自衛隊であり、そのような自衛隊の憲法明記は、わが国を「戦争しない国」から「戦争する国」に変貌させてしまう危険を有していること、現行憲法に緊急事態条項がないのは、ナチスが世界一民主的といわれたワイマール憲法の緊急事態条項を濫用して独裁政治を行ってきた歴史をしっているからで、憲法は緊急事態条項を置き忘れたのではなく、意図的に置かなかったのであって、コロナ等の感染症や大災害の対応に憲法の緊急事態条項など不要であること(法律で十分対応できること)については、改めて、このブログで述べていきたいと思います。
(アイキャッチ画像のひまわりは数年前に佐用町で撮影したもの。弁護士バッジにも使われているひまわりは正義と自由の象徴とされていますが、現行憲法の人権規定と平和主義には正義と自由が凝縮されていると思っています)