吉田竜一弁護士ブログ

ロシアのウクライナ侵略は許されない!

ロシアがウクライナ侵攻を強行しました。

ウクライナの方はロシアに攻め入ることなど全く考えてもいないのに、ロシアが一方的にウクライナに攻め入っているのですから、これが侵略戦争であることは明々白々ですが、プーチン大統領は「国民を守るため」ということを再三強調しているようです。

戦争を始める為政者が、戦争を始めるに際し「侵略」目的だと公言することなどあり得ず、「侵略」目的であっても、「自衛」のためという大義名分を振りかざすことは、例えば日本が大東亜戦争を「亜細亜の解放のため」といって開始したことからも明らかですが、プーチンも同じ類だったということでしょう。

侵略戦争だけでなく、自衛のためでも戦争しないことを謳う憲法9条は、まさに、戦争が「自衛」の名のもとで行われるもので、戦争をなくすためには、「自衛戦争」をも認めないことが必要であるという考えに基づくものですが、その理念の正しいことが、今回のロシアのウクライナ侵略によっても明らかにされたということができます。

「戦争」をなくそうとすれば、すべての国で、「侵略戦争」を禁止するだけでなく、「自衛戦争」をも禁止しなければなりません。

もっとも、今回のロシアのウクライナ侵略で、アメリカやNATOが軍事的行動に出ていないことを理由に、日本が中国やロシアに攻め込まれてもアメリカは助けてくれないのだから日本は自前の軍事力を増強しなければならないとか、ロシアはウクライナが核放棄をしたことを理由に今回の暴挙に及んだのだから、日本も核武装しなければならないという声が少なくないようです。

プーチン大統領は邪魔があれば核行使を示唆する発言も繰り返しているようで、そのような発言は本当に言語道断だと思いますが、しかし、異常な独裁者が暴挙に及んだからといって、世界各国が際限のない軍事力の増強を行い、核武装までするようになれば、少なからず遠くない将来、世界を破滅させることが明らかな第三次世界大戦が勃発することになるのは必至です。

確かに、今回、経済制裁を示唆することでロシアの侵略を止めることはできなかったわけで、そのことについては、ロシアの侵略が予測されるようになった段階での国際社会の事前の対応が妥当なものだったのか、きちんと検証する必要があると思いますが、必要なことは、攻撃させないための核武装ではなく、攻撃させないための、戦争しないための外交努力であるといわなければなりません。

遅ればせながら、ロシアに対しては、世界各国がかなり強力な経済制裁をロシアに下すようですが、そのような措置を通じて、侵略者プーチンに侵略が割に合わないものであることを知らしめることが求められていると思います。

そして、私たちには、経済制裁を実施できるような力はありませんが、ロシアに対して直ちに戦争をやめろ、戦争絶対反対の大きな声を上げていくことはできます。

既に日本でも各地でロシアのウクライナ侵略に抗議するデモ等が行われていますが、本日の朝日新聞夕刊によればドイツ・ベルリンでは10万人以上の、スペイン・マドリードで4万人の、チェコ・プラハでは7万人のデモが行われているだけでなく、ロシアでもモスクワやサンクトぺテルブルクなどで反対のデモや集会が行われているようです。多くの市民は、戦争なんかで誰も殺したくないし、誰も殺されたくないと考えているのです。

中国、ロシアが攻め込んできたときに備えて軍備を増強しろという議論は、中国、ロシアが攻め込んできたら戦えという議論に他なりませんが、軍事力を増強したからといって、狭い国土しか持たないのに攻撃の標的となる原発を各地に濫立させ、しかも食料自給率の著しく低い島国である日本が中国、ロシアと戦争して勝てるなどとは到底考えられませんし(少なくとも私はそう思っています)、勝ち負けを抜きにして、そうなれば日本が壊滅的な打撃を受けることは必至です。

しかし、そのような事態に陥ることは絶対に避けなければなりません。憲法9条が求めていることも、そういうことでしょう。

戦争で死ぬのはまっぴらごめんです。

 

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