吉田竜一弁護士ブログ

巨大広告に操作されるような憲法改正国民投票は許されないー本間龍さんの講演

安倍首相は、2月10日の自民党大会における総裁演説で、「いよいよ立党以来の悲願である憲法改正に取り組むときがきた」と述べ、相変わらず改憲に前のめりになったままで、自民党の統一地方選の政策パンフにも、「時代の転換期にある今、改めて国民世論を喚起し、新しい時代に即した憲法の改正に向けて、取り組みを更に強めます」ということが謳われています。

今年7月に実施される参議院選挙で、改憲派が3分の2を維持できれば、いよいよ憲法改正のための国民投票が実施されそうな情勢です。

もっとも、世論調査の結果をみれば、安倍首相が前のめりになればなるほど、改憲に違和感を持つ国民は増えて行っているようで、特に安倍政権下の改憲には反対する人が多数である世論調査の結果から、国民投票が実施されるのであれば、堂々と受けて立って、国民投票で粛々と改憲案を否決すればいいのだと考えている護憲派の人も少なくありません。

しかし、そのように考えるのは早計です。

2007年に成立した国民投票法は、決して護憲派にも改憲派にも公正・中立なものとはなっていないからです。

国会の発議後、まともに議論する時間もない60日での国民投票が実施可能となっている点、最低投票率の定めがなく、公務員、教職者の国民運動が否決されている点、様々な問題点があるのですが、最大の問題は、投票日直前の14日間を除いて、メディアに憲法改正に関する意見広告を報道させる行為を全く自由になっていることです。日本会議、神社本庁、経団連企業など改憲派が潤沢な資金を持っていること、残念ながら市民に支えられている護憲派に資力がないことは明らかですから、結局、投票14日前まで、垂れ流され続ける徹底した「改憲」キャンペーンにより国民はマインドコントロールされ、「改憲をカネで買う」事態が生じかねません。

ということで、「憲法を守るはりま集会実行委員会」の主催で、国民投票法の問題点をきちんと勉強するために、元博報堂の社員である本間龍さんをお招きして企画した「国民投票と改憲CM/広告が憲法を殺す日」の講演会を3月23日に開催しました。

本間さんのお話は、非常にリアルな、そしてわかりやすいお話でした。

改憲派の広告宣伝担当をする電通が大企業であるとの認識はありましたが、世界最大の広告会社であるということまでは知りませんでした。

また、まともな広告規制がなく、広告を無尽蔵に打てるため、予算と組織を持つ改憲派が圧倒的に有利になるということは、ある程度、理解していたのですが、広告費というものが、①CMや広告としての顔だけでなく、②メディアへの賄賂としての顔を持っており、この②の顔を持っているが故に、巨額の広告費をもらったメディアは広告主に忖度するようになる、具体的には、ワイドショーなどでの取り上げ方が不公平になる、討論番組でも印象操作される、雑誌は広告掲載がある号では批判記事を書けないという指摘は、まさに目から鱗。

広告を規制しないことにより、CM(経済的に絶対優位な改憲派のCM)が、投票日の2週間前まで垂れ流されるだけでなく、テレビ番組や新聞雑誌の記事までもが、広告を掲載してくれる側に忖度した内容になってしまうというのでは、到底、まともな国民投票とはいえません。

国民投票を実施するのであれば、中立・公正を阻害する有料意見広告については禁止すべきです。講演では、イタリア、フランス、イギリス、スペイン、デンマーク等、欧州各国ではテレビを利用した広告は規制をされていることも紹介されました。

もっとも、国民投票のルール改善を求める法改正への取り組みも重要ですが、改憲を目指している自民党が自分に不利になるような改正を行う筈がないことも、また自明のこと。

そうすると、やはり改憲を阻止するためには、発議された改憲案を国民投票で否決するのではなく、改憲案を国会に発議させない取り組みが重要となります。

9条の会も、2月22日に発表した最新のアピールで、安倍自民党は、「参院選で再び改憲勢力3分の2の議席を確保して、何が何でも改憲発議、国民投票を強行しようとねらっています。しかし、こうした安倍自民党の改憲の企みを阻むことは可能です。通常国会での改憲発議を絶対に許さない、そして参院選で改憲勢力3分の2を許さないことで、安倍改憲に終止符を打つことができます。それには、発議を許さず選挙で改憲勢力を打ち破る立憲野党の共闘と頑張り、9条改憲は絶対に許さないという市民の運動、この2つの力が不可欠です」と述べていますが、参議院選挙で憲法が最大の正念場を迎えることは間違いありません。

本間さんは、改憲派は、「負けたら退陣」「政権交代の危険性もあり、2度と改憲できない」ということを背負って、強い覚悟を持っているのに対し、護憲派の方は、「負けても責任をとる人はいない」「負けても次を目指せば良い」という感じを持っているに過ぎないのではないかとの指摘もされましたが、耳の痛い指摘です。

しかし、改憲されてしまえば、おそらく元に戻すことは不可能で、「負けても次を目指せばよい」などと悠長なことは言ってられません。

護憲派の人たちも、改憲を阻止するために、改憲派に負けない、強い覚悟を持つ必要があると思います。

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