吉田竜一弁護士ブログ

やっぱり敵基地攻撃能力の保有では平和と暮しは守れない!

5月6日、第45回はりま憲法を守るはりま集会が姫路市市民会館大ホールで開催され、参加してきました。

メインは国際ジャーナリストで、九条の会の世話人でもある伊藤千尋さんの講演。

伊藤さんは、憲法を守るはりま集会には3回目の登場になりますが(ちなみに3回は松元ヒロさんと並んで最多です)、「平和で幸せを実感できる日本へ~戦争でなく人間性を活かす社会を創ろう」という演題で講演してくださいました。

伊藤さんは、その著書「非戦の誓い」においても述べておられますが、講演でも、ロシアのウクライナ侵略が一年経っても出口が見えない中で、「9条で国を守れるか」と声をあげる人がいるが、ウクライナは9条を持っていたのに侵略を許したわけではない、ロシアに9条があったら、そもそも侵略など起きようがなかった。ここから教訓を引き出すなら、今こそ世界に9条を拡げるべきだ、軍隊で国は守れない、9条は国を超えて人類を守るということを力強く訴えられました。

昨年12月、安保関連3文書で自衛隊に敵基地攻撃能力を保有させることを閣議決定した岸田政権は、敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換えるまやかしを用い、敵基地攻撃能力の保有は憲法の範囲内、専守防衛にも反しないという説明を繰り返すだけで、何故、憲法の範囲内といえるのか、専守防衛に反しないのか、具体的なことを一切語ろうとしませんが、そもそも1発1~2億円するミサイルを何百発も持って、敵基地攻撃できる憲法9条なんてあり得ません。攻撃する自衛隊が「専守」に徹しているなどといえる筈もありません。伊藤さんもおっしゃっていましたが、世界中から嘘つきと言われるでしょう。

岸田首相は、憲法記念日、憲法改正推進派の会合に、自衛隊の憲法明記等、早期の改正への意欲を示すビデオメッセージを寄せたようですが、憲法改正をせずに憲法違反の敵基地攻撃能力の保有を認める閣議決定を行うということ自体、順番を間違えた違憲の閣議決定であるというだけでなく、そもそもロシアは憲法改正によって大統領権限を強化し、ウクライナ侵略へと突入していったのです。自衛隊明記、内閣総理大臣への権限集中を認める緊急事態条項の創設といった自民党が示す憲法改正によって戦争を防ぐことなど絶対にできません。

岸田首相は、抑止論で敵基地攻撃能力の保有を正当化しようとしています。

抑止論とは、こちらが丸腰だと相手は攻めてくる。敵基地攻撃能力を保有しておけば相手も攻めてこないというものですが、憲法記念日に公表された日本弁護士連合会の会長談話が述べているとおり、「敵基地攻撃能力・反撃能力の保有は、近隣諸国に脅威と不信を呼び起こして日本が戦後築いてきた平和的外交関係を損ねかねないものであり、決して日本の安全性を高めるものとはなりません。政府は、武力に依拠するのではなく、日本国憲法が掲げる恒久平和主義、国際協調主義の原理に基づき、国際平和の維持のために最大限の外交努力を尽くすべきです」。

このように述べると、北朝鮮、中国相手に外交なんかできるかと反論する人が少なくないようです。

しかし、敵基地攻撃能力を保有することによって、我が国が戦争に巻き込まれる危険は極めて高いものとなりますが、タレントであり、評論家であり、参議院議員でもあった大橋巨泉さんは、「戦争は爺さんが決めて、おっさんが命令して、若者が死ぬ」と述べていました。自衛隊員の応募者はここ10年で3割近く減っているようで、そのことは、自衛隊の海外派兵が認められ、自衛隊員が死のリスクを背負うようになったことと無関係ではないと思うのですが、応募者が減り続ければその先にあるのは徴兵制でしょう。特に若い人たちには、このまま軍拡を続けて行けば、戦地に赴かなければならないのは自分になる可能性が高いということを、しっかりと考えてもらう必要があります。

また、敵基地攻撃能力を保有するためには防衛増税は避けられません。43兆円にまで増やそうとすれば、消費税増税、社会保障費の大幅な削減は避けられません。年金なんかなくなってしまうというのも決して大げさな話ではありません。

今日の朝日新聞の一面トップの見出しは、「防衛力強化『賛成』6割」でした。朝日新聞は、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に加えて、台湾有事に対する脅威が背景にあるとの分析を行っていますが、共同通信が6日に行った世論調査では、防衛増税が不適切だと考える人が「58%」となっています。

しかし、繰り返しになりますが、敵基地攻撃能力を保有し、防衛力を強化しようというのであれば防衛増税は不可避です。防衛力強化を求めながら、防衛増税は不適切だというのは矛盾です。防衛増税が不適切だと考えるのであれば、台湾有事に防衛力増強で備えるのではなく、外交努力によって台湾有事を起こさせないようにするしかありません。

そんなことを改めて考えさせてもらった伊藤さんの講演でした。

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