5月6日、第46回はりま憲法を守るはりま集会が姫路市市民会館大ホールで開催されました。
集会のメインは防衛ジャーナリストである半田滋さんの講演「敵基地攻撃と日米一体化~防衛費倍増は国民負担に」。
半田さんは、岸田内閣が一昨年12月に閣議決定した安保関連3文書で敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を認めたことについて、安倍政権のもとで存立危機事態にさらされたという場合に集団的自衛権の行使を認める戦争法が成立している以上、同盟国である米国が攻撃されただけで存立危機事態となり敵基地を攻撃することが可能になるが、それは、他国に対する先制攻撃を認めるものに他ならない。中国であれ北朝鮮であれ、日本から攻撃を受ければ、これに反撃してこない筈がなく、それが通常兵器による反撃であっても日本は壊滅的な打撃を受けることになることを、とてもわかりやすく説明してくれました。
また、半田さんは、自衛隊に敵基地攻撃能力を保有させることで、防衛費はGDP2%へ突入することになるが、米国からグローバルホーク、イージス・アショア、オスプレイといった兵器を爆買いしていることについては、元自衛艦隊司令官が、「身の丈を超えている」「子どもの思い付きかと疑うほどあれもこれも」になっていると批判していること、防衛力を抜本的に強化するためには大規模な増税が不可避となることも、具体的なデータを示して説明してくれました。
その上で、半田さんは、台湾有事が現実のものとなり、米国が参戦すれば、日本も米軍による国内基地の使用を容認し、参戦することにならざるを得ないが、台湾有事の戦場は米国でも中国でもなく、台湾と日本となるのであり、「敵基地攻撃能力」を保有し、対米支援するのは自滅の道を選ぶのに等しい、として、平和は軍事力ではなく、命がけの外交によってはじめて実現する、私たちは軍事力ではなく命がけの外交によって平和を実現してくれる政権を誕生させなければならないということを訴えて、講演をまとめてくれました。
視点こそ異なれ、半田さんの講演における敵基地攻撃能力の評価は、昨年の第45回はりま憲法を守る集会での伊藤千尋さんの講演と同じものだったといってよいと思います。
昨年の憲法集会の感想を書いたブログのタイトルは、「やっぱり敵基地攻撃能力の保有では平和と暮しは守れない!」でしたが、このブログのタイトルも同じものにします。
敵基地攻撃能力の保有を認めることで、憲法9条が一層の危機に瀕することになっているといわざるをえないわけですが、憲法9条が死文化したあとにやってくるのは、日本が再び戦火に巻き込まれる、ウクライナやガザと同じような状況になるという事態です。台湾有事になっても戦火に巻き込まれるのは沖縄と南西諸島だけではないかと思う人もいるかもしれませんが、沖縄、南西諸島を再び捨て石にするようなことなど絶対に許されないというだけでなく、戦火に巻き込まれるのは決して沖縄、南西諸島だけではありません。
半田さんは、講演で、岡山空港で自衛隊戦闘機が離発着を行い、大分港で機動戦闘車を乗せた民間船舶が到着しているなど、自衛隊が民間空港・港湾を使用するための訓練を開始している事実を指摘した上で、政府は10道県で既に台湾有事に備えたシフトを敷いているが、有事になれば軍民共用となった民間空港・港湾は国際法上、攻撃対象とみなされることを教えてくれました。
民間施設、民間人が戦争に巻き込まれる、そんな事態を望む人は誰もいないのではないでしょうか。
私たちは、軍事力ではなく、命がけの外交で平和を守ってくれる政権を来るべき選挙で選ぶとともに、これまで以上に9条を守る運動に力を入れていかなければなりません。