吉田竜一弁護士ブログ

新年のご挨拶~「負けても勝つまでやる」の決意で今年も頑張ります!

新年おめでとうございます。

今年は春に非正規、疑似限定正社員15名が正社員との賞与・手当の格差の是正を求めた科学飼料研究所事件で一審判決が下される予定です。

昨年10月、大阪医科薬科大学事件で、最高裁が賞与の不支給措置を違法とした大阪高裁判決を取り消す判決を下しており、厳しい判決も予想されるところではあります。

しかし、最高裁判決は、賞与、退職金についても不支給措置が不合理なものとして旧労働契約法20条違反となる場合があること自体は認めているところ、科学飼料研究所事件こそ、まさに賞与不支給措置が旧労働契約法20条違反となる事案であり、これで賞与不支給措置が違法とならないのでは、およそ賞与不支給措置が違法と判断される事案など存しないということになりますが、それこそが最高裁判決の否定であると考えられます。

ところで、最高裁によって取り消されてしまいましたが、賞与不支給措置を違法とした大阪医科薬科大学事件の大阪高裁判決の主任裁判官は、その後の昨年12月、大阪地裁の裁判長として大飯原発の設置許可を取り消す判決を下しています。最高裁に判決を取り消されても、ひるむことなく毅然と最高裁に立ち向かうが如き判決を下したわけで、そうした判決を下す裁判官がいるのに、弁護士が一審判決であきらめるというような恥ずかしいことなどできるわけがありません。

「私たちは絶対に負けない。なぜなら、勝つまでたたかい続けるから」という言葉は、水俣病裁判など数多くの公害裁判で画期的な判決を獲得してきた自由法曹団の大先輩である馬奈木昭雄弁護士の言葉ですが、その言葉を胸に刻み、どのような判決が下されようとも最後まで15名の労働者とともに頑張らる、例え負けても勝つまでやる、と決意を新たにしているところです。

また、総務省が昨年12月1日に発表したところによれば、10月の失業率は3.1%、新型コロナが影響した解雇、雇止めは11月末までに7万4000人を突破しているようです。

新型コロナの影響で特に中小企業の中に経営が厳しくなっているところが少なくないことは理解できますし、雇用確保のためには雇用調整助成金、持続化給付金の継続等、政府の積極的な施策が必要不可欠であることはいうまでもありません。

しかし、如何に経営が厳しくなっていても、安易な解雇、雇止めは許されません。

既に亡くなられていますが、やはり自由法曹団の大先輩で、尊敬したやまない布施辰治弁護士は、「世の中に一人だって見殺しにされたっていい人類はいないのだ」との言葉も残しています。

もちろん、どの事件にも全力投球ですが、今年は例年以上に労働事件に力を注ぎたいと思っています。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

(写真は山陰ジオパーク/2014年8月撮影)

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