吉田竜一弁護士ブログ

30回目の1月17日で考えたこと~政治こそ被災地・被災者によりそわなければならない

今年の1月17日は1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生してから30回目の1月17日でした。

何回かブログにも書いたことですが、弁護士5年目、阪神・淡路大震災発生後に焼野原となっていた長田区の小学校で行われた自由法曹団の法律相談に参加したことが、私の弁護士としての活動の原点になっており、弁護士は、被災者の命を直接助ける活動に取り組む力はないものの、被災者の方々の生活支援のための助力をすることはできるとの思いから、東北大震災発生時も現地での法律相談に参加したりしてきたのですが、健康上の問題を抱えたこともあり、能登半島地震発生から1年が経過しているのに、いまだ現地を訪れることができていないことについては本当に忸怩足る思いをしているところです。

ところで、阪神・淡路大震災のときは、電気は1週間、水道は3ヶ月で復旧したようで、当時の関係者の方々の努力には本当に頭が下がるのですが、能登半島の被災地では、全壊家屋の解体撤去は全体の25%しか進んでおらず、昨年末の時点でも、まだ水道が復旧していない地域も少なからずあるようです。

復興はもちろん復旧のスピードも余りにも遅すぎると言わざるを得ません。

(能登半島・ヤセの断崖 2019年撮影)

復興・復旧が遅々として進まないことについては、昨年9月の集中豪雨の影響があることは明らかですが、集中豪雨の影響を考慮し、復興・復旧を加速化させなければならないときに、総選挙を実施し、このタイミングで復興・復旧を加速化させなかったことにも少なからぬ原因があると思います。

阪神・淡路大震災の際、復興のスピードはある程度のものであったとはいえ、神戸市長は、まだ多くの被災者が避難所で寒さと飢えに苦しんでいる時に、「神戸空港の建設を進める」と断言し、国も「創造的復興」の名の下に住民本位とはかけ離れたゼネコン向けの巨大開発、土地区画整理を推し進めてきたこと、東北大震災の際、東京五輪の開催が、資材の高騰、被災地における建設業者、高台をつくるための土砂を運ぶトラック業者の不足を招き、復興を遅らせてきたこと、そして能登地震においても、政局を優先し、総選挙まで復興・復旧のための補正予算を組むことさえしなかったことを見ると、わが国の政治は、阪神・淡路大震災をどこまで教訓にしてきたのか、大きな疑問を抱かざるを得ません。

私は参加できませんでしたが、神戸で開かれた今年の「1.17のつどい」では、多くの参加者が「よりそう 1.17」の形に並べた灯籠を前に5時46分の発生時刻に合わせて黙祷されたようですが、政治が被災地、被災者によりそわなければ、住民本位の被災地の速やかな復興・復旧は実現できません。
そのような温かい政治が行われる社会の実現を切に願っています。

(陸前高田・奇跡の一本松 2012年撮影)

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